いちロースクール卒業生から見て、予備試験とロースクールのどちらがコスパがいいのか体験も交えて書きました。教育的観点や政治的観点は排除してコストの観点のみから記事にしたいと思います。
司法試験とはおかしな試験で、受験をするにも資格が必要です。すなわちロースクールを経由するか予備試験を合格することが最低条件として必要となります。(第三の道もあるようですが、ここでは割愛させて頂きます)
そこで問題となってくるのがコスパ。
予備試験とロースクール、どちらに進むべきなのか。ルート別に考えをまとめてました。
予備試験ルート
予備試験に合格することで司法試験を受験できますが、このルートのいいところは学費がかからないことと司法試験の合格率が高まることです。
ロースクールに入学することで当然入学金や授業料、教科書代等のお金がかかります。馬鹿にならない額です。それに比べて予備試験は学費はかかりませんので予備校にかけるお金や独学での教材費等のみ捻出できれば受験資格を得られる点が非常に魅力的です。(予備校の学費も相当高いのでこれは各人のチョイスによりますが…)
また、予備試験合格者の司法試験合格率はロースクールよりも例年高い傾向にあります。また、ロースクールでは3年(短くて2年)を費やして勉強しなくてはいけないところ予備試験は自分が受かったタイミングで受験をすることができます。
極論ですが勉強し始めて1年で予備試験に合格すれば司法試験を受けることができ、そのまま司法試験に合格する確率もあがります。この点から予備校や受験指導校では予備試験の受験、合格が強く打ち出され目標として掲げられています。早期に合格できればコスパは間違いなく良いと思われます。
対して、予備試験のダウンサイドとしては受かるのがハチャメチャに難しいというのが一番にあると思います。
よく予備校のパンフレットに一年で合格した天才の方々のありがたいお声が掲載されています。実際そういう怪物は周りにもいますし、予備校に入って2年くらいで合格できた友達も何人もいます。
それと同時に、そうでない友達も何人もいるのが現状です。予備校に入り、答練を受け、模試を受け頑張って勉強をしても何年も何年も受からない状況が継続し、結局ロースクールルートを選択するか撤退するというケースはかなりあります。具体的に私の周りで予備校に入ったのに予備ルートを諦めざるを得なかった人の割合は5割くらいという感覚があります。学部生の間は予備を目指して結局大学3、4年目で先が見えてしまい司法試験を撤退するかローススクール受験をしてそちらのルートに鞍替えする人も多いです。
そうなると結局司法試験に特化して支出をした金額を回収できない、もしくはロースクールのためにさらに支出をするということになります。
もちろんこのケースがすべての人にあてまはるわけではありません。本当に要領よく合格していく人もたくさんいますし、属する集団の傾向や時期的な問題もあると思います。ただ合格率をみても予備試験は相当難関な試験だと思いますので、予備試験こそ至高!全員が予備試験で受験するべき!コスパ最強!と言えるかというと難しいです。結論として、予備試験は合格できるのならコスパが最強であると考えます。
ロースクールルート
では、ロースクールルートはどうか。
ロースクールのデメリットは予備試験ルートでお話した通り、学費と時間がかかるという点にあります。
まず学費ですが奨学金をもらうとか免除をうけるとかの手段を取らない限り、かなり高額になります。ロースクールによっては全額免除や半額免除をしているところもたくさんありますが各人の学力や成績によってはもらえない可能性もあります。
また、2,3年間は院生生活を送るため時間もかかります。
しかし、ロースクールにもメリットはあります。学歴です。
これは私が実際にいろんな国の友達と話してみて思ったことなのですが、国際的にみて司法試験(bar exam)と法務博士(JD Degree)はイコールではありません。予備試験ルートで早期に合格できるのは素晴らしいですが、ロースクールを修了すると博士のディグリーがもらえます。自己を紹介する際に、単に司法試験に受かったLawyerではなく一応〇〇Lawschoolを出ましたという紹介をすることで話題も広がりますし自己の証明にもなります。個人的にこのアドバンテージは大きいと思うのでロースクールに行くこともメリットとなります。
万が一にも司法試験をあきらめた場合にも、予備試験を受験していたことは学歴として認められるか微妙なところです。対してロースクールを修了したといえれば大学院まで出ている人間であるとしてある程度の担保となります。
このことから、ロースクールルートもかなり魅力的です。
ただ、ロースクールに行くのに予備校を利用するとなると結局費用がかかります。独学でもロースクールに合格した人は私の周りにも沢山いるのでわざわざ予備校に通う必要があるかどうかは不明ですが、少なくとも私は予備校のテキストや講義がなかったら既習でのロー入学は難しかったかなと思います。
そうすると結局、予備校代やテキスト代等の費用がかかるため、司法試験を受験するのに予備校の費用+学費がかかるというコスパの悪いルートとなってしまうと言えるかもしれません。
とは言っても、ロースクール側にもさまざまな奨学金が用意されていることが多いのでこれを目当てに頑張ることでコストを多少削減することもできます。
結局どうするのがいいのか
コスパの面から一番いいのは予備校を利用して短時間で、予備試験ルートを通ってさっくりと合格する
もしくは
ロースクールに入って奨学金をもらいつつ必死で予備校で網羅される大学院で情報を詰め込み合格する
というルートではないのでしょうか。実際にこんな天才がいるわけないと思えるかもしれませんが実際には結構こんな人もいたりします。
しかし、これができる猛者になりきれない私のような凡人にとっては予備校を利用して予備試験の短期合格をねらいつつロースクールに入学し、あわよくば奨学金をいただくというルートもあります。
予備試験でなければいけない!とかロースクールこそ至高!という両極端しかないわけではありませんので、様々な情報を参考にしつつ長い目で人生について考えるのが良いのかな、と思う季節です。
ではまた!

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