憲法 条文(財政~)

論点、判例

83条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
超大事な条文!租税法律主義
最大判H18.3.1の租税とは特別の給付に対する反対給付としてでなく
形式如何にかかわらず一定の要件に該当する全ての者に対して課する金銭給付を意味する。租税に類似するものであれば84条の趣旨が及ぶし、趣旨が及ぶか否かは効果の性質等を総合考慮する。
保険料の場合、保険料の賦課総額の確定が市長に委任されていても条例で算定基準が明確に規定されて確定されて保険料率が自動的に算定される仕組みになっていれば84条に反しない。
という判例はめちゃくちゃ出されるから注意

85条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
×国家緊急権の規定がある

86条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

87条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
② すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない

88条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

90条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
② 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

91条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
② 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
地方公共団体は、法律で地方公共団体とされているだけでなくて事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活、共同体意識をもっているという社会的基盤、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権当地方自治の基本的機能を付与された地域団体でないといけない(最大判S38.3.27)に注意

94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
具体的な内容の事項につき、限定された刑罰の範囲内で条例に刑罰の定めを授権しても31条に違反しない(最大判S37.5.30)という判例に注意
法律と条例の関係についての最大判S50.9.10の判旨(それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない)は超大事だから気を付けて!
普通地方公共団体は国とは別途に課税権の主体となることが憲法上予定されているが、準則が法律でさだめられているからその範囲内で課税権は行使されるべき。強行規定の内容を実質的に変更している神奈川県の条例は違法無効(最大判H25.3.21)という判例も注意

95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
「過半数」とは有効投票数の過半数!前文の改正もこの条文による

97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
② 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

100条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
② この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

101条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

102条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

103条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

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